冬の光

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あらすじ

四国遍路の帰路、冬の海に消えた父。家族、男女関係の先に横たわる人間存在の危うさを炙り出した傑作長編。企業戦士だけれど、子煩悩だった父。だが父は、二十年間ひとりの女性を愛し続けていた。一度は夫の裏切りを許し、専業主婦として家庭を支えて生きてきた母は、父の退職後に発覚した事実に打ちのめされる。それなりに安定した幸せな家庭を作ってくれた父が、四国の遍路を終えた時、冬の海に飛び込んだのは何故なのか。家庭の外にもう一つの世界を持っていたその心中とは?次女の碧は職場に休暇願いを出し、父の最後の旅を辿ろうと決めた。日本の標準的で幸せな一人の企業戦士の、切なく普遍的な人間心理。四国遍路のリアルな光景を辿るうち、読者も自身の人生、男と女の根源的関係に思いを馳せることになるに違いない。変容し続ける作家・篠田節子の到達点。解説・八重樫克彦

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