絵本作家として活躍する葵は授賞式に参加するため東京に来ていた。そこで再会した近澤隼人がまさかの超売れっ子覆面作家だと知って――? 隼人との出会いは五年前、出版社のパーティーでのことだった。当時、パーティーに慣れない葵に隼人が声をかけ、二人は次第に打ち解けていったのだ。そして、そのまま情熱的な一夜を過ごしたのだが……。大切な人を過去に亡くしたことがある葵は隼人の前から逃げてしまった。五年ぶりの再会を
「あのね、いちおう言っておいたほうがいいかもなんだけど、わたし、Sなの」どうしよう。興奮してきちゃった。どんどん高まってる……リハーサルから本番まで、丸一日を費やしたテレビ収録のあとで友梨佳がベッドをともにすることになったのは、収録に参加していた有名ジャズピアニストの和田充だった。どこか調子のよく、日本では嗅ぐことの少ない香水を身に纏っているこの男とは波長が合った。食事のあと出向いたバーで、持病を
血走ったような、食い入るような目でわたしの胸を見つめる先生の前に、ほら、と持ち上げなら差し出して、ついでにおっぱいで顔を埋めてあげる。河上先生は……奥手だったわたしの、初恋の人なのだ──日本へ帰ってきて、ふたり目の獲物は、音大時代、三か月間の臨時担当教師だった。公開レッスン終了後に何か演奏をと学長から頼まれた際、河上先生と連弾がしたい、と勝手な希望を出した友梨佳。准教授としていまも母校に残る先生と
「鳥につくダニ」という地味な研究を続けてきた沙耶は、30歳を目の前にして、失恋と失業のダブルパンチに見舞われてしまった。誰かに話を聞いてもらいたくて生まれて初めて占いを体験、ひとり旅を勧められた沙耶は、少女の頃より大切にしていたうさぎのぬいぐるみの故郷があるイギリスを訪ねることに。絵本の世界のような素晴らしい風景に、沙耶の心は少しずつ癒やされていく。そんなある日、迷い鳥が縁で、沙耶は見目麗しく日本
叔父の会社に奉仕するため産業スパイとして働きつつ、表向きは真面目な派遣社員である玲奈。日本有数の音楽機器の会社を経営する叔父の命令で、玲奈は青山琉斗の経営する会社「コンケントゥス」に入り込む。困ったことに、なぜか琉斗に気に入られ、秘書の代わりに彼の身近で働くようになり――!? 「……ねえ、キスしたら、怒る?」 彼との距離感に戸惑う一方、知らず知らずのうちに惹かれていって……。
前の会社を退職していた千尋は友人の紹介でジュエリー販売の事務所に雇われ、そこで社長の拓馬と出会う。仕事ができるだけではなく、優しく真面目な人柄の拓馬に次第に惹かれていく千尋だったが……。そんなある日、拓馬が婚約破棄をしたという話を知ってしまう千尋。キャンセルできないという理由で予約されていた新婚旅行になぜか千尋が誘われて――!? 拓馬の婚約破棄を機に仕事でもプライベートでも距離が近づいていく二人。
高校生の頃からの友人である柊輔に美琴は長い間淡い恋心を抱いていた。そんなある日、美琴は柊輔から契約結婚の提案をされてしまい――!? 病気の祖母のために結婚を申し込まれた美琴は柊輔への思いから、彼との契約結婚を受け入れることに。自分への恋愛感情がないであろう柊輔と夜を過ごすために、今度は美琴からある提案を持ちかけた。それは「お互いに役になりきってシチュエーションプレイをする」というもので……? 提案
「ごめんね。さっき話したけど、わたしちょっと変わったプレイが好きなの。今日はお姉さんに任せてくれないかな?」三十八歳で独身の友梨佳は、パリ在住のクラシック・ピアニスト。久しぶりに帰ってきた日本では、リサイタルや日本の音楽大学での公開授業などのスケデュールが詰まっていて、最後に大きな『行事』が待っていた。高級ホテルのピアノルームでそれとない練習をしていたが、どうにもノッてこないとき、ふらっと訪れた地
「へー、そっかぁそんなに射精したいの」「あっあっお願いです、お願い……早くぅー」「わかった」わたしが言うと、内田の顔に歓喜が広がる。「じゃあ、イカセてあげなーい」──泉の今回の「えもの」は近所のコンビニに勤める内田だ。『夢イキ』してしまうほど溜まっていた泉になれなれしく、花火大会の夜に、屋台で声を掛けたのが運のツキ?だった。コンビニで始まるプレイに用意周到に臨む泉。いつもより、自分自身が相当に溜ま
「クリトリスもちゃんと舐められないなんて。そんなんでよくホストが務まったね。この程度で射精したいなんて生意気」本当は気持ち良かったけれど、そう意地悪を言ってやる──泉はその日、六本木のワインバーで、三時間近く友人の琴乃の愚痴を聞いてやっていた。ホストに騙された……という救いの無いバカみたいな話だ。が、「あいつを! 蒼磨を! 調教して欲しい」と頼まれると、ま、わたしも楽しんじゃえばいいか、と作戦を練
「ほらっ、破裂しそうなおちんちんに、これを被せるよぉ。いっぱいぐちゅぐちゅしてあげる」パイプ椅子に後手に縛り付け、さらにペニスの根元を紐で縛りあげたタツヤのそこに、オナホールを被せ、派手に扱き出す──泉は仕事で忙しく、仕方なく始めた出会い系サイトで知り合ったタツヤとその夜、自分の会社が管理するビルの一室にいた。仕立ての良さそうなダークブルーのスーツを着こなし、いかにもナイスミドルな男は、泉の「指示
豚だけ勝手にイクなんて、生意気よ。それにしても、入れられてイクなんて、雅也はただの豚じゃなくって、メス豚なんだね。メスなんだから、もっともっとメスイキしたいでしょう?──泉の趣味は、気に入った男の子を食べちゃうことだった。今回の「えもの」は、彼女がSに目覚めるきっかけをくれた大学時代の同級生、雅也。海外の政府機関で働くエリートだ。久しぶりに渋谷のバーで会ったその夜、お互いに認め合い、深め合った昔を
テレビ番組の制作プロダクションにディレクターとして勤めて十二年、35歳になる汐音は、キー局のプロデューサーと何年か付き合っていたが、二年前に別れてしまい、男はそれっきりだ。今日も二徹後、編集オペレーターの緒方に指示を出しながらの作業を終えた。深夜、同じ方向へタクシーを拾おうとふたり歩き始める。途中の公園で、緒方が隠し持ってきた缶チューハイで乾杯。「汐音さんは、最近、何かが滞っている」と語り始めた。
二週間のうちに、契約を上げてこないと盛岡に転勤──ブラック企業丸出しの住宅販売会社の上司からそう告げられ、焦るリストラ対象の有希。元々せっぱつまった家庭状況にあった彼女は、そう言われた飲み会をフラフラと抜け出し、入り込んだのは「出来る男性先輩」の机の前。PCを勝手に覗き、顧客リストや仕事の仕方を盗もうと……。しかし、あとをつけてきたその男、斉田にPCを見ているところを見つけられてしまい──弱みにつ
どう? すごぉく、恥ずかしい格好だよ。でもね、諦めて、今夜はわたしの奴隷になってね。大好き……。ごめんね、わたしも興奮してきちゃったの。だから……開口ギャグ、つけてもらったんだぁ。ふふ、──目立たず地味なOLと思われているはずでバツイチの泉。彼女の趣味は、気に入った男の子を食べちゃうことだった。しかも、一夜限りのSMプレイ。今夜の獲物は新入社員の悟くん。久しぶりの萌え萌え男子だった。会社の飲み会が
快感が奥からじわじわと上がってきてしまい、悔しいけれどもう限界だった。縛られて感じるなんて嫌なのに──七海と亮介は、5年間恋人だった。派遣社員と売れないベーシストという組み合わせは、決して贅沢な関係ではなかったけれど、仲はよく、それなりに幸せだった。が、七海が三十歳を迎えたとき、実家から、堅実な家庭を築き、介護が必要となった父の世話を母と一緒に看るよう乞われる。三十歳は節目なのかもしれなかった。別
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