殺人捜査課の駆け出し刑事・山田は、新婚の妻の容態を聞くために病院の一室にいた。「先生、はっきりおっしゃってください。死期がすぐに迫っているのだったら、ぐずぐずしているひまはないのです。わたしにはどうしてもすることがあるんです!」アコーディオン・ドアの向こうで女の必死の声が漏れてきた。山田刑事は見た、鮮やかな紫色の菫の造花に飾られた黒ずくめの、その女の姿を。数日後、連続殺人が起きて……。著者最後の長
推理作家の恋住木美子は、作品数も収入も知名度も低いが、能書だけはまくし立て、おまけに酒乱ときては敬遠する編集者も多い。だが、そんな彼女にテレビ局から、現代ミステリーについて一席という出演依頼があり、それが大変なことに……自身をパロディ化した「木美子の冒険」…
ある冬の日曜日、推理作家・泉川ミカ江女史の許にかかって来た殺害予告の脅迫電話。誰の仕業か判らず仕事も手につかない。だが、恐怖と憤りを酒に紛らすうちに職業的好奇心が芽生え、女史は脅迫者についての考察を始めた……。純粋推理を実践した表題作のほか、古き良きパリの…
あっと驚くどんでん返し! 財閥の放蕩息子に見初められ結婚した蓮子は、慣れない生活に息苦しさを感じていた。そんな折、財閥当主が殺される。殺人罪の裁判の行方は? 驚愕のどんでん返し、ミステリの金字塔!
大手出版社に勤務する志賀子は、幾人もの一流作家を抱える敏腕編集者として忙しい日々を送っていた。そんな折、ミステリー作家志望の美しい青年に出会い、少女のように胸をときめかせ、彼との将来を夢見るようになった。だが、青年が妻帯者だと知ったとたん、殺意が……。著者…
粋で艶やかな新橋芸者の“まり勇”は、ハードボイルドなどの海外ミステリーが大好き。少女時代はメイヴィス・セドリッツやハニー・ウエストのような女探偵を夢見ていた。忙しいお座敷の合間に起きるミステリアスな事件に胸を躍らせ、恋しい刑事と謎を推理。聖ルカ病院、魚市場…
温室での洋蘭の栽培に全身全霊を捧げる美しい義姉。彼女が育てる人面花を巡る悲劇と戦慄の真相を描いた表題作ほか、花・星・蟲・鳥を題材として、幽玄の世界のうちに技巧を尽くした傑作ミステリ短篇集『月下の蘭』。かつて公安警察の鬼と呼ばれた盲目の老人と、彼の愛娘が伴…
「男の哀愁、にがい自嘲や挫折感、にもかかわらず何かにもう一度賭けてみようとする心意気」……アーウィン・ショウの小説に惚れこんだ著者は、その洗練された感覚と技巧を「なんとか盗みたいと願いつつ」これらの短編を創った。 ――女性ミステリー作家が〃男の涙〃を主題に据…
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