万葉歌人は、じつは恋愛下手でした――。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その…
ひたすら彫る。彫るために生きる。それが仏師だ。全く新しい美を創造し、日本芸術史に屹立する天才運慶。その型破りな人生とは――。少年の頃、「醜い顔」と嘲られた運慶は、女の姿態や鎌倉武士の強靭な肉体に美を見出していく。快慶との確執、荒ぶる野心。棟梁として東大寺南…
平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら寵愛を受けられず、都を出奔した空也。野辺の骸を弔いつつ、市井に生きる聖(ひじり)となった空也は、西国から坂東へ、ひたすら仏の救いと生きる意味を探し求めていく。悪人は救われないのか。救われたい思いも我欲ではないか。「欲も恨…
現代美術にも通ずる大胆な空間構成が高く評価され、欧米の美術界で江戸琳派の旗手として広く知られる鈴木其一。酒井抱一の内弟子として画業をスタートした其一は、師の死後、どのようにして「夏秋渓流図」「朝顔図屏風」のような奇想の絵を描いたのか!? 絵師としての苦悩…
家康が恐れたただ一人の息子――父・家康に疎まれ、秀吉の養子に出された秀康。関ヶ原の戦いの後に越前、福井藩の藩祖となり徳川幕府を支えた男の波乱に満ちた生涯。家康を父に持つ於義丸は双子で生まれたため、忌避される。兄信康のとりなしで家康に息子として数年後に認知さ…
東に東海の雄・駿河の今川義元!北に信濃から侵攻してきた武田信玄!西は三河の徳川家康と織田信長の連合軍!たえず三方から狙われ、脅かされてきた遠江の小国・井伊家。次々と当主が殺され、出家した姫が、地頭職を継いで、井伊谷の平和のために立ち上がった。後の徳川四天…
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