30年以上にわたる美術史研究の集大成となる論集。近世近代美術の通史を意識すると同時に、東アジアや西洋近代の美術動向も反映しつつ、京都や江戸・東京とも異なる独自の世界を開拓した大阪画壇の歴史的展開と問題、その本質を明らかにする。既発表論考の加筆再録を中心に、一部書き下ろし論考を加え、個別の画家や団体、作品への実証的な研究を重ねることで、日本美術史における研究が立ち後れていた大阪画壇の再評価をめざす。
水辺で見つかる色とりどりの鉱物・岩石を、見比べやすい原石のままの姿で紹介する大人気石探しガイドブック、シリーズ第1巻が大幅改訂。鉱物図鑑は新しく4種を入替し、日本の川原・海辺で見つかる34種を紹介。スポットガイドは、環境の変化に対応して19か所を追加・更新(全24か所)。図鑑・ガイドとも、ほとんどの参考写真をよりわかりやすいものへと差し替え、データ類の表記なども見直して、使い勝手がアップしました。
ピンクの丸いアイスクリーム、黄色い三角形のレモンケーキ、白いメレンゲとチョコレートパフェ。それに、デフォルメされた、坂の多い都市景観。70年にわたってアメリカ西海岸の街と大衆文化を描き続けた画家ウェイン・ティーボー。アメリカでは「ポップ・アートの先駆者」とも呼ばれながら、日本では無名に近い画家の本邦初の画集。『エドワード・ホッパー作品集』の著者江崎聡子氏の翻訳と日本語版解説で調理した、美味しい本。
現存する五重6階の天守のなかで、日本最古となる松本城。戦国時代の建物と、平和な時代につくられた建物が共存する天守をはじめ、善光寺街道に沿って経済的発展を遂げた城下町・松本を探訪する。現地写真のほか古地図や絵図、地形図を駆使して、歴史の地層を掘り起こし、町に秘められた物語と痕跡をたどる。城郭を中心に発展してきた町の歴史・文化を探訪するシリーズ第10弾。タレント・飯野美紗子氏の巻頭インタビュー収載。
本書は、著者の第4子で重度の知的障害者である星子さんとの暮らしや、津久井やまゆり園事件の犯人「植松青年」との手紙のやりとり、また1977年から通った水俣の地と水俣病などについて、10代の3人の若者に語った記録である。能力主義と優生思想、人とのかかわり、個・自立・責任、差別、脳死、人の生死といのち……などをめぐって話しあい、いのちに価値づけはできるのか、「共に生きる」とはどういうことかを考える。
研究がしたい、でも何をどう進めたらよいのかわからない……そんなアナタのための、まったく新しいスタイルの心理学研究法入門書。研究法にはどのようなものがあり、それで何を明らかにできるかという通常の説明の流れとは逆に、自分の研究目的に合った研究法を選択できるよう、研究に必要な個々の手続きを、研究目的の設定から順を追って具体的に解説する。これから論文を書く人はもちろん、論文指導を行う教員は必携の一冊。
COVID-19によるパンデミック以降、オンラインセラピーが一気に広がったが、そこで新たな問いが生まれた。オンラインは対面の代替手段でしかないのか? 対面における「存在」「身体」とは何なのか? 人と人との出会いとはどのような現象なのか? 多くの精神科医や心理士、さらにグループのファシリテーターや組織コンサルタントなど、対人援助を行う人たちが抱える疑問や葛藤に理論面、実践面から幅広く応える待望の書。
「伸びる」が健康の第一歩!遠くのものを眺めるように、背筋を伸ばすことからはじめましょう。ヨガには「伸びる」ポーズが多くあり、体が硬くても、運動が苦手でも気軽に取り組めるのでシニア世代にぴったり。理学療法士が体のしくみや動かし方について丁寧にわかりやすく解説するので、納得して実践することができます。ヨガで体の調子も心のゆらぎもととのえて、元気な明日をつくりましょう!
なぜトイレにはスリッパがあるの? 火葬場で箸わたしをするのはどうして? そのヒントは、民俗学にありました。民俗学の知識を使って、ネット上の美談からLGBTQIA+まで、現在の世の中の各所に潜むいろいろな疑問や話題を取り上げ、豊富な図解とともにわかりやすく解説します。民俗学は現代社会でも使える、生きた学問だった!
東京専門学校(現・早稲田大学)で人的資本を蓄え、郷里で『千葉民報』記者となるも廃刊、自ら立ち上げた『新総房』での活躍で千葉県改進党系のホープとして認知され、米国留学後に『萬朝報』記者、『東京毎日新聞』編集長を歴任する。第10回総選挙補選に当選し、以後当選7回。加藤高明内閣で陸軍政務次官を務めた。「世論」と「輿論」の二面性をもつ大衆政治が本格化する趨勢を先読みした関和知にメディア議員の本質を見る。
精神科臨床の現場では患者に向き合うとき、表に現れている症状の裏にあるものまでを捉えて症状の意味を理解しようとする。著者は、そうした「見えているもの」の裏の裏まで細かく捉えることで、患者の症状のみならず精神医学の動向や歴史の流れまでをも読み取ることに長けている。本書は、透徹した眼差しで著者が見つめ、感じ、考えたものを、ときにユーモラスに、ときに真摯に、ときに繊細であたたかい言葉で綴ったものである。
NHKで40年間放送された《中学生日記》(1972~2012年)は、「普通」と「日常」を強調するドラマ形式を借りながら、学校外の中学生と大人への啓発を強く意図した日本独自の社会教育番組であった。「中学生のリアル」はいかなる条件で成立し、どのような社会的役割を果たしたのか。中学校の安定的な社会化へと促す上で重要な役割を果たした番組を歴史的に位置づける、気鋭の若手研究者によるメディア史研究の意欲作。
ユングが提唱した後期思想の中でも、今なお大変関心の高い共時性原理。本書はユングと共同研究した体験をもつ著者が、ユング自身の理論の生い立ちをたどりつつ、シンクロニシティ(意味のある偶然の一致現象)への理解をより深めるために著した重要な一冊。易経、道教からライプニッツ、アインシュタインまで、広い視野から詳細に考察する。巻末には、本書をより平易に理解するために、共訳者・河合隼雄氏による解説を付した。
吉田茂を政権の座から引きずり下ろして鳩山一郎内閣を作り、1955年に自由党と民主党を統一して保守合同を成し遂げ自民党を作った最大の功労者・三木武吉。東京専門学校を出て憲政会に所属、代議士の傍ら東京市会議員、報知新聞社長を兼任、気骨ある党人派として「寝業師」「ヤジ将軍」「政界の大狸」などの異名をもって知られた。大物ながら本格的な研究に乏しかった稀代の政治家に光を当て、議会政治史の裏面を解きほぐす。
築城の名手である加藤清正がつくり、細川家が支えた鉄壁の城・熊本城。多くの武士が住み、平和な世にあっても戦いへの備えを忘れなかった堅牢な城下町・熊本を探訪する。現地写真のほか古地図や絵図、地形図を駆使して、歴史の地層を掘り起こし、町に秘められた物語と痕跡をたどる。城郭を中心に発展してきた町の歴史・文化を探訪するシリーズ第9弾。熊本で生まれ育ったフリーアナウンサー・武田真一氏の巻頭インタビュー収載。
本書では、ギリシア・ローマ神話、ケルト神話、北欧神話、聖書から、アジアやアフリカ、アメリカ先住民やオーストラリアの先住民アボリジニの伝説まで、有名な神話や伝説から選ばれた、男女問わず50にのぼる英雄たちのエピソードを、傑作といわれる絵画を通して読み解いていく。大昔から人びとの想像力をかきたててきた伝説的な英雄たちを題材とするさまざまな絵画を解き明かすために欠かせない1冊。
列強が角逐する激動の18世紀ヨーロッパに生き、40年にわたってハプスブルク帝国に君臨したマリア・テレジア。その治世は、多くの国・地域からなる「複合君主政国家」の現実と「絶対主義」的な支配理念とが絶えず衝突してせめぎ合う、波乱に満ちたものであった。「正義と慈愛」を掲げ、試行錯誤を重ねながら統治した「女帝」の生涯を、政治・社会・文化の諸相、そして同じ時代を生きた人びとの姿と絡めて描く。
アクターの主観とアクター間で共有される認識に着目するコンストラクティヴィズムの立場から、中世から現代に至る国際秩序の形成過程を説明する、新しい国際関係論の入門書。従来の国際関係論では必ずしも十分に論じられたとはいえない、中国、インド、東南アジア諸国、太平洋諸国といった非西洋諸国をも考察の対象とし、真にグローバルな観点から国際秩序の変容を論じる。
現代国際政治に対する鋭い分析と考察で知られる著者が、国家運営に不可欠かつその運命に決定的な影響をもたらす外交について、豊富な具体例に基づいて初学者向けに解説。アメリカ独立革命、二つの世界大戦、イラク戦争など歴史上の重要な事例から「外交の実際」を浮き彫りにするとともに、外交のもつ歴史的価値を解き明かす。2030年代以降の外交を読み解くための羅針盤。
華々しい言論活動と比類なき大衆扇動力でその名を轟かせた雄弁政治家、中野正剛。福岡・修猷館から早稲田に進み、東京朝日新聞記者、東方時論社主筆として活躍。そのメディア経験を糧に衆議院議員に連続8回当選、東方会を結成して南進論を唱え、日米開戦後に東條批判を繰り返し、憲兵の取り調べ直後に自殺。中野は政治家として何を目指し、なぜ自ら命を絶ったのか。メディア政治家としての素顔に肉薄する初の評伝。
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