魔法使いのセシルは「沼地の魔法使い」と呼ばれ、町の人々から疎まれていた。「呪いの魔法で災厄を起こす」と噂されているが実際は、セシルは治療魔法しか使うことができない。しかし気弱な性格のセシルには、人々から向けられる冷たい視線にも心無い言葉にも反論することができずにいた。そんなある日、セシルは今までに見たこともないほど美しい姿をした青年から声をかけられる。セシルのことを「沼地の魔法使い」と知ったうえで
椋田弥里26歳。中学生のころは、年齢を重ねていけば自然に恋人ができ、大人になり(深い意味で)、結婚するものなのだと思っていた。だが、いまだに彼女もできず、清らかな身体のまま誕生日を迎えてしまった。このまま30歳になって魔法使いになったらどうしよう。誕生日を祝ってくれるのは、幼なじみの隈江寛貴だけ。文武両道・温厚篤実・眉目秀麗の彼に不毛極まりない愚痴をこぼすと、寛貴は弥里にデートを提案。女性に声もか
『惣菜屋 かえで』を経営する朝希は施設育ちのゲイ。家族、家庭への憧れから「家庭料理の温かみ」を感じられる惣菜作りを大切にしている。そんな朝希には気になる相手がいる。時折サラダのデリバリーを注文してくれる客で、名前は都倉。そんなある日、いつものように都倉からサラダのデリバリー注文が入り、朝希は嬉々として配達に向かった。しかしその日は、いくらチャイムを鳴らしても出てこない。鍵のかかっていないドアをそっ
六青なおは極度の童顔。大学に通う20歳の成人男子だというのに、黙っていると中学生、ひどい時には小学生に間違われることもある。なおは幼馴染みの水穂真のことが大好きだった。真はなおより12歳年上で、真が社会人となって一人暮らしを始めてからも、2人は本当の兄弟のように仲睦まじく過ごしていた。しかし、ある日を境に真は、理由も告げずに「もう来ないでほしい」と一方的になおを突き放してくる。しかもそれから数日後
高校時代、陸上部の先輩だった詠一(えいいち)に、社会人になった今なおただならぬ想いを抱く献(ささぐ)。当時もらった詠一の腕時計は今も宝物だ。偶然、近くに住んでいることを知り、以後は時間を捻出して気づかれぬよう彼を追いかけ、こっそり写真に収めて自らを慰める。だが、詠一が女といるところを目撃し、あきらめることを決意する。詠一への想いを振り切ろうと、頼まれて参加した合コンでは新たな出会いの予感も。しかし
私立高校で化学教師として働く由高は、過去の苦い経験を引きずったまま、恋愛からは遠ざかった生活を送っていた。行きつけの喫茶店のマスター・明日真のことが気に入っている由高にとって、明日真の店で食事をして、彼との会話を楽しむことが毎日の癒やしだ。明日真に向けた感情は恋愛に近いかもしれないが、今の心地よい距離感を壊すことがいやで、気づかぬふりをしていた。そんなある日、由高は今もトラウマとなっている以前の彼
人づきあいが苦手で口下手なリオは、町の人々から「変わり者の根暗魔術師」と囁かれている。けれど幼馴染みであるパン屋の娘・セシリアだけはリオに対しても優しくて、リオはそんなセシリアにひそかな恋心を寄せていた。しかし、セシリアには想い人がいた。美貌の騎士団長・グレンだ。リオはグレンのことが嫌いだった。なんでもそつなくこなすグレンの無表情な顔を見るたび、魔術の勉強以外なにもできない自分をみじめに感じるのだ
園池悠は絶望していた。住み込みで働いていた職場が倒産したのだ。高校卒業とともに上京してまだ3か月。ブラック企業で働き詰めだった悠には土地勘もなければ帰るべき家もなかった。途方に暮れ、公園で一晩過ごそうと腹をくくったその時、酔っぱらいに声をかけられる。端正な顔立ちと逞しい体躯という威圧感のある容姿に反して人懐こい男は、優しく悠に話しかけ自宅へと招いてくれた。翌朝、家主の男より先に目を覚ました悠が礼と
過去のトラウマから、人と接することを避けてきた大学生の遊は、バイト先で酔客に絡まれているところを、優しげな男性・赤木に助けられる。その後、別のバイト先で赤木と偶然再会し、交流を深めていくうちに、身よりもなく、笑うことも忘れ、たった一人で生きていくと決めた…
叔母が経営する保護猫カフェで店長を務める五十鈴は、学生時代の元彼から受けたひどい仕打ちがトラウマとなり、恋愛に臆病になっていた。ある日の閉店間際、五十鈴は店のガラス窓に一人の強面男性が張り付いているのを発見する。五十鈴が声を掛けると男は近くの建築現場の作業員で、前々からこの保護猫カフェが気になっていたが、こんないかつい男が入ってもいいものか悩んでいたという。こんな気遣いのできる人が中身まで怖いわけ
「もう、お前とは会わない」 卒業式の日にそれだけを告げ、寿鷹は千尋の前から姿を消した。極道の息子でありながらクラスの人気者だった寿鷹とは、友人とも恋人とも呼べないセックスフレンドのような関係だった。それでも、複雑な家庭環境で育ち、幼い頃から他人への興味が希薄だった千尋にとって、寿鷹は初めて情を傾けることができた特別な相手だった。あれから7年……。千尋は自身のバーを構え、バーテンダーとしてカウンター
アパレルメーカー「EIJIISM」で社長秘書兼愛人として働いていた翠は、ある日突然プレス担当への異動を命じられる。社長の後ろ盾を失った翠は社内では腫れ物扱い。居心地の悪さに退職の二文字がちらついたその夜、翠は自宅前で倒れていたアキバスタイルの外国人を拾う。放っておくこともできず、自宅に連れ帰り介抱してやると、目を覚ました彼は記憶喪失になっていた。警察には行きたくないと駄々をこねる彼をとりあえず「桃
『恋と気づいたときから』に登場したBAR.MISERYのバーテン・鈴と常連客・塚本のその後を描いたスピンオフ作品! BAR.MISERYでバーテンとして働く桐島鈴には、しつこく言い寄ってくる常連客がいた。弁護士の塚本玲次。彼はBAR.MISERYオーナーである千尋の旧友であり、鈴にとっても恩のある相手。塚本のことは嫌いではないが、彼の恋人になった自分を想像することができない鈴と、鈴の気持ちを理解し
第三王子ルドルフは剣の達人で、正義感が強く猪突猛進な性格。父王を支えるため、国内の不正や問題を調査して回っている。辺境伯マティアスが外国との秘密取引で不正に財産を築いている、という噂を聞きつけたルドルフは、調査のためマティアスの領土に乗り込む。マティアスは庶民の生まれだが、その美貌で先代の辺境伯をたらし込み養子に収まった男だ。噂通りの美しさとただならぬ色香を持つマティアスに、翻弄されるルドルフ。し
パン屋「リデット」の店主である朝倉は、女性と話すことが苦手。接客以外で付き合いのある女性といえば、幼なじみの真菜くらいのもの。ある日、真菜から「彼氏を紹介したい」と呼び出された朝倉は、そこで大学時代に憧れていた同級生・七夜と再会する。しかし、七夜は朝倉に向かい「はじめまして」と口にする。大学時代、七夜と言葉をかわしたのは一度だけ。朝倉にとっては忘れられない出来事だったが、七夜は忘れてしまったのだろ
生まれながらに強い霊感を持つ正道は、僧侶として実家の寺を守りつつ、霊力を活かして除霊の依頼も請け負っている。女性のようにかわいらしい顔立ちと小柄な身体に似合わず血気盛んな質の正道は、地上げ行為を働くヤクザたちにも臆さずケンカを売る始末。ある日、正道が難癖をつけてきたヤクザたちと小競り合いをしていると、一人の男が仲裁に入ってきた。それは十年ぶりに顔を合わせた幼馴染みの諒だった。諒は正道同様霊感を持っ
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