慶長の役における武功により、政重の名は国中に鳴り響いていた。政重には幾多の召し抱えの誘いがあったが、宇喜多秀家の元で徳川家に挑み、天下分け目の合戦に臨むことを決意する。何より義を重んじた男の波乱万丈の人生を活写した歴史巨編。
家康の謀臣・本多正信の次男として生まれ、槍奉行・倉橋長右衛門の養子として育った倉橋長五郎政重は、故あって秀忠の近習を斬り捨て徳川家を出奔する。前田利家の密命を帯びて朝鮮半島に渡り、慶長の役に身を投じた政重が見たものとは!?
摂関政治から院政への橋渡し役をはからずも演じた、道長の子・藤原能信。藤原摂関家と天皇家を中心に、皇子誕生をめぐる閨閥(けいばつ)による権力抗争を、道長の背中を追いながら王朝社会の陰の実力者となった能信を通して描いた歴史大作。
織田信長の叔母である「おつやの方」は、戦乱の世の目まぐるしい政略や度重なる戦に翻弄されつつも、織田弾正忠家のために数々の判断をし、激動の生涯を生きた。天文中頃から天正三年の約二十七年間の美濃・尾張を舞台として、つやが法界に至るまでの人間模様と道行きを「華厳教入法界品」から西鶴「好色一代女」につながる系譜で描いた歴史小説。
奴隷制否定、動物虐待拒否のキリスト教三位一体派(正教会)。動物虐待是認のキリスト一教神派(カトリック教会)。この二つの相剋。宗教とは何か。奴隷主のためだけにあるのが神なのか。そして、人間のエゴを、ただただ“神”としたもの、それが一神教なのか。宗教史を紐解き、人間と宗教の「絡み合い」を赤裸々に辿った問題作。
書聖王羲之の神品と言われた「蘭亭序草稿」は唐二代皇帝太宗の死後、その陵墓昭陵に副葬されたと伝わる。その書は果たして真筆か!? 太宗が設立した天下賢了の士を集めた弘文館。そこに名を連ねた南朝陳以来の友、欧陽詢、虞世南、褚亮の3人の関わりは如何に? 南朝陳から隋、唐の時代に齢(よわい)を重ねた3人の来し方行く末を描く伝奇的歴史ロマン。
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