麗しき花実

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あらすじ

江戸琳派の仲でも近年、鈴木其一の人気が高まっている。その鈴木其一が、作品中、重要な役割を果たす。主人公・女蒔絵師・理野と其一が、それぞれのジャンルで、美を求めて切磋琢磨する関係から…。物語の中で、「夏秋渓流図屏風」の着想を得る重要なシーンあり。女と男の結ばれないまま、続く交情が感動を呼ぶ。江戸琳派の世界、華やかな文化人交流には共に素晴らしい女性達の存在が…。当時の根岸には、美術工芸や画家、文人などの一流の人々が集っていた。その中に蒔絵にすべてを注ぐ女が一人。美を生み出す陰に大量生産の工房システムがあり、主人公も其一もその矛盾に悩みつつ、独自の美を追究する。…「夏秋渓流図屛風」は其一が正面から師、抱一と対峙した制作と位置付けられるだろう。この作品は「噲々(かいかい)其一」の署名から、三十台半ばから四十代半ばの間に描かれたと知られる。抱一の没後師風から解放され、其一なりの光琳画風の展開や、西遊の成葛飾葛飾北斎などの浮世絵風景画の影響も指摘される。しかしこの屛風の迫力に富む描写を目の当たりにした時、その根底に自然の景観を前にした其一の実体験があったことは充分可能考えられよう。日記には宇治川の急流や布引の滝などほかの水流の写生も残されている。一方其一が松江に寄った事実は「癸巳西遊日記」現行本からは確認することができない。けれども何処であれ、其一自身がその眼で見た実景、筆で掴み取った形態、心に刻み込んだ感動が「夏秋渓流図屛風」に確かに生かされていることをこの小説から教えられた。こうした其一の清新な作風は、近年ようやく江戸絵画の中でもひときわ異彩を放つ存在として多くの人々に知られるようになった。制作の複雑な背景を浮き彫りにしたこの小説に触発された読者も多かろう。(解説より)文政5年、蒔絵師の娘・理野は、兄と共に松江から江戸の原羊遊斎の工房を目指した。羊遊斎の工房で、急逝したが、女の蒔絵師として、下絵から仕事が許される。工房の数物を作りながら、新しい美をもとめる理野。情念を込めた独自の表現を目指し、全てを蒔絵に注ぐ。江戸琳派の酒井抱一、鈴木其一など実在の人物を絡め、描かれる美術工芸の世界と、やるせない恋。そして、職人魂を貫く潔い女の生き方が感動を呼ぶ。ラストシーンで、其一の代表に連なる松江の山道からの風景が想像をかき立てる。凜と生きる女の潔さと情念が印象的な時代長編。

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